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ICT産業調査室

IT/ICT産業の業績や就労環境などを調査し分析しています

株式公開ICT関連12月期業績 就業者の給与減少に歯止めかからず

92社の売上高は15.5%増の8兆3165億円

 株式を公開しているICT関連の12月期決算92社の2017年12月期決算が、2月19日までに出そろった。決算月別企業数が3月期の349社に次いで多いので、カテゴリー別動向を探ってみる。

 売上高は前年同期比15.5%増の8兆3,165億98百万円、本業の利益を示す営業利益は33.7%増の7,650億39百万円、事業全体の利益を示す経常利益は7,710億83百万円、税引後の純利益は52.3%増の5,228億30百万円だった。

 ただしキヤノン(売上高4兆0,800億15百万円、営業利益3,314億79百万円、経常利益3,538億84百万円、純利益2,419億23百万円)を除くと、91社の売上高は11.4%増の4兆3,165億98百万円、営業利益は26.3%増の4,335億60百万円、経常利益は23.2%増の4,171億99百万円、純利益は45.8%増の2,809億07百万円に補正される。

 2016年12月期業績の前年同期比(集計対象92社)は、売上高が3.0%減(キヤノンを除いた補正値は4.8%増)、営業利益が17.8%減(同0.7%増)、経常利益が15.4%減(同0.9%減)、純利益が16.4%減(同1.1%増)だったので、大幅な業績回復となる。

 経営指標の営業利益率は9.2%で前年同期比+1.3ポイント(p)、経常利益率は9.3%で+1.2p、純利益率は6.3%で+1.5pだった。

 

集計企業数は1社減・1社増

 集計企業数は92社で2016年12月期と同じだった。

 カテゴリー別に見ると、「ハードウェア製造」が3社で変動なし、「プロダクツ販売」が18社で1社減(ネットワークバリューコンポネンツ上場廃止)、「受託サービス」が28社で1社増(サイバーコム:3月期決算から変更)、「ネットサービス」が43社で変動なしとなっている。

 

就業者数と平均年齢の暫定値

 就業者数(暫定値、前年同期比は1社当たり換算)は連結ベースが33万1,261人で3.4%増、単独・個別ベースが7万9,962人で2.9%増だった。

 正規・非正規の別で見ると、連結ベースは正規が3.5%増の31万5,631人、非正規が0.3%減の1万5,580人、単独・個別ベースの正規は3.2%増の7万4,932人、非正規は0.8%減の5,030人だった。

 単独・個別ベースの正規就業者の平均年齢(暫定値)は39.3歳で0.09歳(32,9日)増だった。ただしこの数値はYahoo!ファイナンス掲載の企業情報および各社ホームページの情報に基づいており、確定値は有価証券報告書が出そろうのを待たなければならない。

 

カテゴリー別の暫定値

〔ハード製造〕

○連結:20万0,431人(0.7%増)

 正規:20万0,363人(0.7%増)

 非正規:68人(増減なし)

○単独・個別:2万6,955人(0.2%減)

 正規:2万6,912人(0.2%減)

 非正規:43人(±0.0%)○平均年齢43.1歳(増減なし)

〔プロダクツ販売〕○連結:4万3,128人(7.4%増)正規:3万3,867人(7.6%増)非正規:4,761人(5.4%増)○単独・個別:1万9,297人(8.9%増)正規:1万7,456人(9.3%増)非正規:1,841人(5.3%増)○平均年齢40.8歳(+0.04歳)

〔受託サービス〕○連結:4万8,621人(3.3%増)正規:4万2,073人(4.4%増)非正規:6,548人(3.5%減)○単独・個別:1万7,996人(4.2%増)正規:1万7,296人(4.5%増)非正規:700人(2.9%減)○平均年齢36.9歳(+0.16歳)

〔ネットサービス〕○連結:3万9,081人(16.2%増)正規:3万4,878人(18.7%増)非正規:4,203人(1.1%減)○単独・個別:1万5,714人(2.5%増)正規:1万3,268人(0.2%減)非正規:2,446人(1.6%減)○平均年齢33.8歳(-0.04歳)

 

カテゴリー別1社当たり業績

〔ハード製造〕○売上高:1兆3,766億29百万円(19.7%増)○営業利益:1,118億86百万円(43.8%増)○経常利益:1,193億50百万円(43.8%増)○純利益:813億76百万円(59.0%増)

○営業利益率:8.1%(+1.3p)○経常利益率:8.7%(+1.5p)○純利益率:5.9%(+1.5p)

〔プロダクツ販売〕○売上高:936億50百万円(10.2%増)○営業利益:68億80百万円(15.6%増)○経常利益:70億53百万円(15.8%増)○純利益:47億36百万円(19.6%増)○営業利益率:7.3%(+0,3p)○経常利益率:7.5%(+0.3p)○純利益率:5.1%(+0.4p)

〔受託サービス〕○売上高:253億00百万円(5.9%増)○営業利益:83億16百万円(0.8%減)○経常利益:17億12百万円(1.3%増)○純利益:8億79百万円(3.7%減)

○営業利益率:6.6%(-0.5p)○経常利益率:6.8%(-0.3p)○純利益率:3.5%(-0.3p)

〔ネットサービス〕○売上高:416億88百万円(20.1%増)○営業利益:60億15百万円(43.7%減)○経常利益:55億38百万円(37.6%増)○純利益:39億27百万円(88.0%増)

○営業利益率:14.4%(+2.3p)○経常利益率:13.3%(+1.7p)○純利益率:9.4%(+3.4p)

 売上高は「ハード製造」「プロダクツ販売」「ネットサービス」が前年同期比2けた増だったのに対し、「受託サービス」は5.9%増と1けた台にとどまった。営業利益は「ハード製造」と「ネットサービス」が40%台の高い伸びを示しているが、「受託サービス」は0.8%減となっている。純利益も同様の傾向にあって、総じて「受託サービス」の収益性に回復は見られない。

 

カテゴリー別就業者1人当たり業績

〔ハード製造〕○売上高:2,060.5万円(18.8%増)○営業利益:167.5万円(42.8%増)○経常利益:178.6万円(42.8%増)○純利益:121.8万円(57.9%増)

〔プロダクツ販売〕○売上高:3,908.6万円(2.7%増)○営業利益:287.1万円(7.7%増)○経常利益:294.4万円(7.9%増)○純利益:197.6万円(11.4%増)

〔受託サービス〕○売上高:1,457.0万円(2.6%増)○営業利益:96.4万円(3.9%減)○経常利益:98.6万円(1.9%減)○純利益:50.6万円(6.8%減)

〔ネットサービス〕○売上高:4,586.9万円(3.4%増)○営業利益:661.8万円(23.7%減)○経常利益:609.3万円(18.4%増)○純利益:432.0万円(61.8%増)

1社当たり業績の前年同期比は就業者数の増減に影響される。そこで就業者1人当たり業績で前年同期比を算出すると、「ハード製造」の業績が拡大し、「ネットサービス」の利益が大きく改善したことが分かる。それに対して「受託サービス」は増収減益となっている。営業利益率、純利益率がともに漸減傾向にあるだけに、「受託サービス」ビジネスモデルの体質(構造)改善が喫緊の課題ということができる。

 

就業者の平均年収は4.2万円減

 これも暫定値(参考値)だが、就業者の平均年収を調べると、前年同期比4.2万円減の685.8万円だった。カテゴリー別には「ハード製造」は0.2万円増の760.2万円で最も多く、以下、「プロダクツ販売」(0,5万円減の745.8万円)、「受託サービス」(7.8万円減の593.7万円)、「ネットサービス」(3.9万円減の589.7万円)となっている。

 年収のレンジは「ハード製造」が651.0~763.0万円(中央値は増減なしの712.0万円)、「プロダクツ販売」が434.0~937.0万円(45.0万円減の515.0万円)、「受託サービス」が423.0~972.0万円(3.4万円減の573.5万円)、「ネットサービス」が335.0~752.0万円(0.6万円減の515.0万円)だった。

 営業利益・純利益の増加は見かけ上であって、就業者1人当たりに換算した業績は決して好転していない。株式を公開していることが利益確保重視の姿勢を強め、結果として就業者の待遇改善を後回しにさせているようだ。