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ICT産業調査室

IT/ICT産業の業績や就労環境などを調査し分析しています

情報処理実態調査2016 1社当たりIT関係支出は12億円/前回調査から2.25倍に急増

「ソフトウェア」の構成比が大幅に増加

 IT/ICT産業の動向を探る手がかりの1つは、経済産業省が実施している「情報処理実態調査」だ。製造業/非製造業各13業種(計26業種)について、①IT活用の状況(IT戦略、クラウド・コンピューティング、IT投資、IT要員)、②IT関係支出額、③情報セキュリティの状況を詳細に調査している。なかでもIT/ICT産業の景況にかかわるのはIT関係支出額ということになる。

 直近の調査結果は昨年5月22日に公表された2016年分で、1社当たりのIT関係諸経費は11億8,554万円だった。内訳は「コンピュータ・周辺機器」が1億6,236万円、「通信機器」が1,459万円、「その他の情報機器」が1,009万円、「ソフトウェア」が5億8,083万円、「処理サービス料」が4,555万円、「運用保守」が1億6,108万円、「セキュリティ」が332万円、「その他サービス料」は4,441万円、「その他」が1億6,331万円となっている。

 これをハード/ソフト/サービス/その他に整理すると、「ハード」は1億8,704万円で構成比は15.8%、「ソフト」は49.0%、「サービス」が2億5,436万円で21.5%、「その他」が13.8%だった。2000年調査と比べ、「ハード」は半減、「ソフト」は倍増した。

 前回調査(2014年)からの構成比増減は、「ハードウェア」が1.7ポイント(p)減、「ソフトウェア」が14.3p増、「サービス」が8.6p減、「その他」が3.8p減となっている。「ソフトウェア」の構成比が大幅に増加している。

 ちなみにIT関係諸経費が大きかった業種は、「映像・音声情報制作・放送・通信(集計11社)」139億0,356万円が群を抜いており、以下、「金融・保険(113社)」48億7,271万円、「輸送用機械器具製造(53社)」43億0,024万円、「電気・ガス・熱供給・水道(23社)」39億5,963万円、「電気機械器具製造(41社)」30億1,434万円の順だった。

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2006年まであった「通信料」「人件費」の項目が2007年からなくなっている

 

3分の2が「攻めのIT」を重視

 経産省がかねてから提唱している「攻めのIT」については、回答した2050社のうち428社(20.9%)が「きわめて重視」、927社(45.2%)が「やや重視」としている。「きわめて」と「やや」を合算すると全体の66.1%だった。

 「攻めのIT」を重視している業種は、「金融・保険」(89.0%)、「情報サービス」「新聞・出版」(83.3%)、「情報通信機械器具製造」(77.4%)、「その他機械器具製造」(72.3%)、「小売」(72.0%)、「非鉄金属製品・金属製品製造」(71.9%)などだった。

 IT活用が「非常に重要」は742社(36.2%)、「ある程度重要」は1041社(50.8%)  IT投資規模の増減については、有効回答1,837社( 回答2050社から「実績なし」の213社を引いたもの)のうち、「増えた」と回答したのは719社(39.1%)、「同程度」は830社(45.2%)、「減った」は170社(9.3%)だった。

 「増えた」の回答が多かった業種は「繊維」(66.7%)、「電気・ガス・熱供給・水道」(57.1%)、「窯業・土石製品製造」(58.3%)、「金融・保険」(55.8%)、「映像・音声情報制作・放送・通信」(54.5%)だった。売上高規模では「100億円超~1000億円未満」の48.1%、「1000億円超」の42.9%が「増えた」と回答しており、IT投資意欲は大企業が強いことが分かる。

 IT投資規模の見通し(有効回答1,864社:2050社から「実績なし」186社を引いたもの)については、「増える」は725社で38.9%、「同程度」が743社で39.9%、「減る」が208社で11.2%だった。実績と比べ、プラスが0.2p、横ばいが5.3pそれぞれ減少し、マイナスが1.9p増加した。

 業種別で「増える」が多かったのは「映像・音声情報制作・放送・通信」の72.7%がトップ、以下、「繊維」66.7%、「その他機械器具製造」51.1%、「新聞・出版」「金融・保険」50.0%となっている。売上高規模では「1000億円超」の47.0%、「100億円超~1000億円未満」の42.4%が、「増える」と回答している。

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集計企業の規模が非連続の要因

 2016年の調査結果は、①1社当たりIT関係支出額が2000年以後の過去最高、②「ソフトウェア」の構成比が49%と異常に多い、③1社当たりIT関係支出額の伸びが前回調査(2014年)の2.25倍、「ソフトウェア」費の伸びが3.2倍と常識的ではない等、にわかに首肯できそうにない。

 下のグラフは2000年から2016年まで17年間の1社当たりIT関係諸経費を並べたものだ。10億円を超えたのは2000年と2005年の2回だけだが、2006年までは9億円~10億円で推移していた。2007年に7億円台にガクッと落ち込んだ。08年にやや回復を見せたものの、減少に歯止めはかからず、2014年は直近ピークだった2000年の半分以下(49.9%)まで下っていた。

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2007年は調査項目の見直しがあったため、IT関係諸経費の上段は旧来の集計

 それが1年の空白をはさんだだけで、非連続と言っていいほどの急増を示したのはなぜだろうか。調査項目の定義や範囲を変更したのでないなら、考えられるのは集計の対象企業を変えたということだ。

 2016年の集計企業数は「資本金」が2,022社、「事業収入」が1,990社、「IT関係諸経費」が1,697社で、対2014年増減率はそれぞれ58.9%減、57.9%減、57.2%減だった。ところが1社当たり事業規模を見ると、資本金は116億44.3百万円で51.0%増(1.5倍)、事業収入は1,017億75.8百万円で50.7%増(1.5倍)、従業員数は1,840.0人で89.1%増(1.9倍)となっている。

 2000年調査までさかのぼっても、2016年の1社当たり規模は、資本金が2000年の95.0%、事業収入が109.5%、従業員数が112.0%となっている。IT関係諸経費の集計企業数が2000年の3,285社から2016年は1,697社とほぼ半減しているにもかかわらず、IT関係諸経費が10億58百万円から11億85百万円に1割以上増えているのは、事業収入が「10億円~100億円未満」の企業が占める割合が、2000年の37.0%から2016年は49.1%と、大幅に増加したことによっている。

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