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IT産業調査室

IT/ICT産業の業績や就労環境などを調査し分析しています

3月期345社 2017年度業績は売上高9.2%増

1社当たり業績は18年間で過去最高

■ 売上高は110兆円超す

IT/ICT関連の株式公開企業のうち、5月18日までに決算を発表した3月期企業の2017年度(2017年4月~2018年3月末)の業績を集計した。売上高は110兆1,403億18百万円、営業利益は9兆7,505億27百万円、経常利益は9兆2,501億25百万円、純利益は7兆4,509億72百万円だった。

これに伴い、昨年4月期から今年3月期まで12か月に発表されたIT/ICT関連株式公開企業599社の総売上高は120兆7,090億51百万円、営業利益は10兆7,442億65百万円、経常利益は10兆2,481億93百万円、純利益は8兆1,103億31百万円となった。 

■ 集計企業は前年から8社減少

集計企業数は345社で前年同期と8社少なかった。

減少した事由は、決算期変更が4社、上場廃止が2社、決算発表延期が2社だった。 決算期変更は、①「ハードウェア/アミューズメント機器製造業」のユニバーサルエンターテインメントが決算期を12月に、②「ネット/営業支援サービス」のLifullが9月に、③「受託/BPOサービス」のアイスタディが12月に、④「受託/ソフトウェア開発」のサイバーコムが12月にーーとなっている。

上場廃止は「受託/ソフトウェア開発」のデータリンクス(同業のDTS子会社)、富士通ビー・エス・シー(親会社富士通の完全子会社)の2社、発表延期は「ハードウェア/電子部品」のオンキョー(5月25日に発表)、「ネット/ASPサービス」のブロードメディア(「連結子会社の架空取引被害の影響)の2社だった。

カテゴリー別業績は下表の通りだった(詳細は別項)

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ドメイン別の業績は下表のようになっている(詳細は別項)

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 ■ 純利益が前年同期比1.5倍に

集計企業数が異なるので2016年度業績と単純に比較するのは意味がない。そこで1社当たりに換算すると、売上高は3,192億47百万円で前年度比は9.2%増、営業利益は282億62百万円で19.1%増、経常利益は268億12百万円で18.2%増、純利益は215億97百万円で49.5%増となる。業績4指標が本調査を開始した2000年度からの18年間で最高を記録した。

1社当たりの2016年度業績は売上高が5.6%減、営業利益が11.9%増、経常利益が9.2%増、純利益が19.2%増だっ

た。業績指標の全項目で前年同期比が増加した。

また、売上高に占める営業利益の割合(営業利益率)は8.9%で前年同期比0.8ポイント増、営業利益率は8.4%で0.6ポイント増、純利益率は6.8%で1.9ポイント増だった。

喜んでばかりはいられない事情

  ■ 連結子会社の裾野広が

厳密には各社の有価証券報告書が出揃うのを待つしかないが、各社の会社概要および公表資料に基づく今年4月現在の就業者数を調べると、連結ベースの就業者総数は374万4,310人だった。内訳は正規雇用者が334万6,851人、非正規雇用者が39万7,459人となっている。就業員全体に占める非正規雇用者の割合(非正規雇用率)は10.6%で、前年同期から0.3ポイント減少した。

また単独・個別ベースの就業員総数は69万9,486人だった。正規雇用者は61万3,339人、非正規雇用者は8万6,147人だった。非正規雇用率は12.3%で前年同期比0.3ポイント増、単独・個別ベースの総就業員数を1とする連結ベースの総就業者数の割合は5.4で、前年同期から0.3ポイント増加した。連結子会社の裾野が広がっている。 

■ 1社当たり就業者数は4.7%増

業績と同じく就業者数も1社当たりで比較すると、連結ベースの就業員数は1万0,853人で4.7%増だった。内訳は正規雇用者が9,701人で5.0%増、非正規雇用者が1,152人で2.2%増となっている。 単独・個別ベースの1社当たり就業員数は2,027人で0.2%減だった。

正規雇用者は1,778人で0.5%減、非正規雇用者は250人で2.0%増となっている。連結子会社と非正規雇用者への依存度が高まっている。本社がホールディングカンパニー化が進み、実事業を子会社に移管している傾向が強まった。 

■ 1人当たり業績 実質の売上高伸び率は4.3%

1社当たり売上高が前年同期比9.2%増、純利益が1.5倍というのは近年にない好況ぶりに見えるが、売上高が増えた要因として就業員数の増加という喜んでばかりはいられない事情もある。営業利益と純利益が大幅に増加したのは、これまでが低かったからに過ぎない。

就業者1人当たり業績を算出すると、売上高は2,941.5万円、営業利益は260.4万円、経常利益は247.0万円、純利益は199.0万円となる。就業者数が4.7%増となったことに伴い、1社当たり業績の対前年同期増減率が変動する。

すなわち実質的な売上高伸び率は9.2%増から4.3%増に、営業利益は19.1%増から13.7%増に、経常利益は18.2%増から12.9%増に、純利益は49.5%から42.8%増に補正される。 

平均年収は2年連続で減少

 ■ 平均年齢は0.2歳若返り41.0歳

就業者の平均年齢は41.0歳で前年同期より0.2歳若返った。前年同期の数値は2017年3月末日現在、今回の数値は2018年4月1日現在なので、新入社員の分が全体を若返らせている。有価証券報告書が出揃った段階で公式な値に修正することになる。

平均年収は729.0万円で前年同期の730.4万から1.4万円、0.2%減少した。2015年度745.4万円→2016年度730.4万円→2017年度720.0と平均年収が減少し続けている。