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IT産業調査室

IT/ICT産業の業績や就労環境などを調査し分析しています

株式公開IT関連企業(3月期)2019年度中間業績【通信インフラ】 売上高は頭打ち

通信インフラは「通信建設」3社、「通信サービス」11社で構成されています。「通信建設」と、「通信サービス」のうち「持株会社」2社は参考値という位置づけです。インターネットを支える移動体通信サービスの成長が頭打ちになった感があります。

売上高は1.9%増の17.9兆円

 通信インフラ14社の売上高は前年同期比は1.9%増の17兆9,372億15百万円でした。営業利益は38.6%減の2兆5,454億89百万円、経常利益は10.7%減の3兆6,734億06百万円、純利益は18.7%減の2兆0,104億12百万円でした。

営業利益率は▲9.3ポイントの14.2%、経常利益率は▲2.9ポイントの20.5%、純利益率は▲2.8ポイントの11.2%でした。

就業者数(連結ベース)は2.1%増の66万4735人でした。内訳は正規雇用が2.7%増の52万9676人、非正規雇用が13万5059人となっています。ただしこの数値は年度途中であるため、確定値ではありません。

就業者1人当たりの売上高は2698.4万円で0.3%減でした。営業利益は382.9万円で39.8%減、経常利益は522.6万円で12.6%減、純利益は302.4万円で20.4%減でした。 

通信建設は"利益なき繁忙"

 「通信建設」3社の業績は、参考値として集計したものです。IT/ICT業そのものではありませんが、通信ケーブルや通信施設など通信インフラの構築の景況を推測することができます。

3社の売上高は前年同期比41.5%増の6,382億99百万円でした。好調な建設需要や東京オリンピックパラリンピックに向けた社会インフラ整備、次世代通信技術(5G)対応のモバイル通信設備、広域自然災害に伴う復興復旧などが売上高を押し上げているようです。

営業利益は16.9%増の266億83百万円、経常利益は15.6%増の298億76百万円、純利益は11.1%増の184億82百万円でした。売上高と比べ、利益の伸びは低くなっています。

営業利益率は4.5%前年同期より▲0.9ポイント、経常利益率は4.7%で▲1.0ポイント、純利益率は2.9%で▲0.8ポイントでした。売上高は1.4倍となりましたが、人手不足による下請けへの発注の増加が利益を圧縮したと言えるかもしれません。"利益なき繁忙"が続きそうです。

就業者数(連結ベース)は0.6%増の4万7,990人でした。内訳は正規雇用が0.7%増の4万2,508人、非正規雇用が5482人となっています。

就業者1人当たりの売上高は40.6%増の1330.1万円でした。営業利益は16.2%増の59.8万円、経常利益は14.9%増の62.3万円、純利益は10.5%増の38.5万円でした。

持ち株会社 営業利益が6割減

「通信サービス持株会社」は日本電信電話ソフトバンクグループの2社です。

日本電信電話の数値にはNTTドコモ、NTTデータ、NTTデータ イントラマート、ソフトバンクグループの数値にはソフトバンク、ヤフー、SBテクノロジーなどが含まれます。

不動産の運用やベンチャーへの投資など祖業以外の収益が多いため、これも参考値として集計しています。

2社の売上高は10兆5,412億41百万円で前年同期比は0.9%増でした。営業利益は61.2%減の9,672億53百万円、経常利益は14.6%減の2兆1,187億56百万円、純利益は30.8%減の9,692億22百万円となっています。営業利益が6割減となったのは、ソフトバンクグループの営業欠損155.5億円が響いています。

就業者数(連結ベース)は前年同期比2.4%増の46万9,424人でした。内訳は正規雇用が2.9%増の39万1,416人、非正規雇用が7万8,008人となっています。

就業者1人当たりの売上高は1.5%減の2,245.6万円でした。営業利益は62.1%減の2,06.1万円、経常利益は16.6%減の451.4万円、純利益は32.4%減の206.5万円でした。 

MNO 減収は13半期ぶり

 通信サービス9社は移動体通信事業者(MNO)4社、仮想移動体通信事業者(MVNO)5社で構成しています。

音声データ通信や企業間ネットワーク(専用回線)サービスを担うNTT東日本、同西日本、SI事業も展開しているNTTコミュニケーションなどは非上場のため調査していません(持株会社日本電信電話を参照されたい)。

◼️ MNO4社

売上高は6兆7,222億97百万円で前年同期比は0.7%増でした。営業利益は4.8%減の1兆5,444億43百万円、経常利益は5.1%減の1兆5,199億54百万円、純利益は3.1%減の1兆0,197億25百万円となっています。

売上高が前年同期を下回ったのは2012年度下期(2012年10月〜2013年3月)以来13半期ぶり、営業利益が前年同期を下回ったのは2013年度上半期(2013年4月〜9月)以来12半期ぶりとなります。

就業者数(連結ベース)は前年同期比1.7%増の14万5,854人でした。内訳は正規雇用が2.6%増の9万4,350人、非正規雇用が5万1,504人となっています。

就業者1人当たりの売上高は1.0%減の4,608.9万円でした。営業利益は6.3%減の1,058.9万円、経常利益は5.1%減の1,042.1万円、純利益は4.7%減の699.1万円でした。 

◼️ MVNO5社

今半期から大型施設内のWi-Fi/5Gネットワーク構築・シェアリングサービスを提供するJTOWER(証券番号4485、マザーズ)が加わりました。

売上高は353億44百万円で前年同期比は11.3%増でした。営業利益は22.5%増の51億10百万円、経常利益は17.7%増の48億20百万円、純利益は15.8%増の29億83百万円となっています。

就業者数(連結ベース)は前年同期比4.9%増の1,467人でした。内訳は正規雇用が5.1%増の1,402人、非正規雇用が65人となっています。

 就業者1人当たりの売上高は6.2%増の2,409.3万円でした。営業利益は16.9%増の348.3万円、経常利益は17.7%増の328.6万円、純利益は10.4%増の203.3万円でした。