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IT産業調査室

IT/ICT産業の業績や就労環境などを調査し分析しています

株式公開IT関連企業(3月期)2019年度中間業績【ハード製造】 純利益が半減

ハードウェア81社は「娯楽機器・装置」10社、「情報処理機器・装置」3社、「電子部品」27社、「周辺機器・装置」41社で構成されます。

日立製作所が独自のメインフレームから撤退するなど、国内電子産業におけるコンピュータのウエイトが低下していることから、「情報処理機器・装置」と「周辺機器・装置」の分類を見直す必要があるようです、また、それと呼応するように、IoT需要を背景としてセンサーやスイッチといった電子部品、周辺機器のウエイトが高まっていると考えられ、ハードウェア製造の軸足は「デジタル」に移行しつつあるようです。

 落ち込み要因は東芝とJDIの大型欠損

◼️ 売上高は2.7%減

状況的には追い風のように見えますが、価格低下と大型IT投資の一巡で売上高は36兆8042億49百万円、前年同期比は2.7%減でした。

営業利益は2兆6,580億48百万円(営業利益率7.3%)で7.4%減、経常利益は2兆5,364億37百万円で23.7%減、純利益は1兆6,120億61百万円(純利益率4.4%)で51.7%減でした。

◼️ 純利益は08年以来の落ち込み

純利益が半減するまでに落ち込んだのは、2008年度上半期(2008年4〜9月)以来となりますが、要因は2社の大型欠損(東芝の1,451億46百万円、ジャパンディスプレイ:JDIの1,086億72百万円)であることがはっきりしています。

就業者数(連結ベース)は0.6%増の281万1,606人でした。内訳は正規雇用が0.7%増の266万7,543人、非正規雇用が4万7,723人となっています。

就業者1人当たりの売上高は3.3%減の1,309.0万円、営業利益は7.9%減の94.5万円、経常利益は24.2%減の90.2万円、純利益は52.0%減の57.3万円でした。

 娯楽機器・装置は2半期連続で増収

売上高は6,253億60百万円で、前年同期比は11.1%増でした。昨年度上半期は6.2%減と落ち込みましたが、同下半期13.0%増に続く増収となりました。

営業利益は1,100億49百万円(営業利益率17.6%)で26.1%増、経常利益は1,020億21百万円で13.7%減、純利益は718億40百万円(純利益率11.5%)で11.6%減でした。

◼️ 欠損の要因は新規投資

2016年度から上期投資先行型となっているフィールズ(2767、東証1部)が▲2888百万円(欠損)を計上したほか、藤商事(6257、ジャスダックスタンダード)が主力機種の販売不振で▲1266百万円、サン電子(6736、ジャスダックスタンダード)が新規事業(モバイル/IoT関連機器)投資で▲1497百万円となったのが影響しました。

就業者数(連結ベース)は0.7%増の2万4,758人でした。内訳は正規雇用が0.9%増の1万8,164人、非正規雇用が6,594人となっています。

就業者1人当たりの売上高は10.4%増の2,634.9万円、営業利益は25.3%増の444.5万円、経常利益は14.3%減の412.1万円、純利益は12.2%減の290.2万円でした。

 日立、富士通の減収減益が響く

コンピュータを製造しているという意味で、日立製作所、NEC、富士通の3社を「情報処理機器・装置」に分類していました。しかし産業用に限らず、医療、交通、計測など社会諸相で用いられるデジタル機器・装置の多くが情報処理機能を内在するようになった現在、コンピュータを別枠で扱う必要はないとも言えます。

そこで本稿では、3社を「ハードウェア製造を基盤に、ソフトウェア、ネットワーク、データセンター等の複合業務を営んでいる総合メーカー」と位置づけました。 

売上高は7兆4,990億83百万円で、前年同期比は2.1%減でした。

営業利益は3,773億71百万円(営業利益率5.0%)で15.2%減、経常利益は4,158億96百万円で15.5%減、純利益は2,821億14百万円(純利益率3.8%)で0.4%減でした。

◼️ 懸念は受託系への値下げ圧力

日立製作所が売上高6.0%減(2,705億07百万円減)、営業利益22.7%減(763億81百万円減)、富士通が営業利益25.4%減(242億15百万円減)となったのが響いています。

就業者数(連結ベース)は0.9%増の55万4,585人でした。内訳は正規雇用が0.9%増の54万0,878人、非正規雇用が1万3,707人となっています。

就業者1人当たりの売上高は3.0%減の1,532.2万円、営業利益は16.0%減の68.0万円、経常利益は16.2%減の75.0万円、純利益は1.3%減の50.9万円でした。

システム開発の元請け的地位にある企業の純利益が半減したことで、受託(人月)系ITサービス業への値下げ圧力が懸念されます。

 電子部品は減収、7社が欠損

電子部品(半導体を含む)27社の売上高は、前年同期比2.7%減の8兆5,624億89百万円でした。営業利益は7,588億72百万円(営業利益率8.9%)で18.8%減、経常利益は7,855億64百万円で21.2%減、純利益は5,313億86百万円(純利益率6.2%)で25.5%減でした。

収益の状況を見ると、27社のうち21社が減収、24社が減収、7社が欠損(赤字)でした。2018年度上期は減収7社、減益7社、欠損2社でしたので、全体の景況は悪化しているように見えます。

就業者数(連結ベース)は1.1%増の91万4,738人でした。内訳は正規雇用が1.2%増の83万8,699人、非正規雇用が7万6,039人となっています。

就業者1人当たりの売上高は3.8%減の936.1万円、営業利益は19.7%減の83.0万円、経常利益は22.0%減の85.9万円、純利益は26.3%減の58.1万円でした。 

 周辺機器 4:6で好不調くっきり

周辺機器・装置41社の売上高は、前年同期比3.3%減の20兆0,903億17百万円でした。営業利益は1兆4,117億56百万円(営業利益率7.0%)で0.7%増、経常利益は1兆2,329億56百万円で28.2%減、純利益は7,267億21百万円(純利益率3.6%)で67.8%減でした。

収益の状況を見ると、増収は18社、減収は23社で減収が6割を占めています。そのうち売上高が2けた増となったのは5社、2けた以上の減少となったのは8社、増減率5%以内は12社となっており、好不調がくっきりしています。減収の事由として「海外での販売不振」をあげる企業が目立っています。

就業者数(連結ベース)は0.2%増の131万7,525人でした。内訳は正規雇用が0.2%増の126万9,802人、非正規雇用が4万7,723人となっています。

就業者1人当たりの売上高は3.5%減の1,524.9万円、営業利益は0.5%減の107.2万円、経常利益は28.4%減の93.6万円、純利益は67.9%減の55.2万円でした。