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IT産業調査室

IT/ICT産業の業績や就労環境などを調査し分析しています

株式公開IT関連企業(3月期)2019年度中間業績【製品販売】 増収増益の好調継続

製品販売81社は「ゲームソフト」7社、「システム販売」15社、「ソフトウェア販売」39社、「電子情報機器卸・小売」20社で構成されます。

収益モデルから「製品販売」としていますが、ゲームソフト・パッケージ販売、システム販売、業務系ソフトウェア・ライセンス販売の3業務の企業は、ソフトウェア設計・開発、システム構築を並行しているケースが少なくありません。

注:△はプラス、▲はマイナス

1人当たり売上高は2.3%増

81社の売上高は2兆5,699億31百万円で前年同期比は5.9%増でした。営業利益は23.6%増の2,053億96百万円(営業利益率8.0%)、経常利益は27.3%増の2,125億75百万円、純利益は28.5%増の1,494億31百万円(純利益率5.8%)となっています。

就業者数は3.5%増の12万1,956人でした。内訳は正規雇用が4.6%増の9万3167人、非正規雇用が2万8,789人となっています。

就業者1人当たりの売上高は2.3%増の2,107.3万円、営業利益は19.5%増の168.4万円、経常利益は23.1%増の174.3万円、純利益は24.1%増の122.5万円でした。 

ゲームソフト販売 減収ながら利益率は向上

ゲームソフト7社の売上高は4,686億77百万円で前年同期比は1.1%減でした。7社のうち増収だったのはスクウェア・エニックス・ホールディングス(9684、東証1部)とエヌジェイホールディングス(9421、ジャスダックスタンダード)の2社だけでした。

営業利益は689億43百万円(営業利益率14.7%)で13.0%増、経常利益は687億94百万円で0.4%増、純利益は517億51百万円で12.3%となっています。

売上高は減少しましたが、営業利益率は△1.8ポイント、純利益率は△1.3ポイントと、利益率は向上しています。

就業者数は1.4%増の3万9,666人でした。内訳は正規雇用が2.4%増の2万3,445人、非正規雇用が1万6,221人となっています。

就業者1人当たりの売上高は2.5%減の1,181.6万円、営業利益は11.4%増の173.8万円、経常利益は1.0%減の173.4万円、純利益は10.7%増の130.5万円でした。 

システム販売は増収増益

◼️ ソフト受託開発業との重複も

システム販売は、ハードウェアとアプリケーション・ソフトウェア、ネットワークなどを組み合わせて販売するビジネス形態を指し、古くは「オフィスコンピュータ」をベースとする中小企業向け定型業務システムが原型です。コンピュータの知識を持たないユーザーがシステムの電源を入れる(キーを回す=ターンキー)だけで、定型業務が処理できるので、「ターンキー・システム」とも称されました。

定型業務向けソフトウェア・パッケージを顧客向けにカスタマイズすることからスタートしましたが、最近は顧客の要望に応じて専用システムを構築する受託開発型も多くなっているようです。ハードウェア販売とシステム開発がバンドルとなっているのが特徴ですが、ハードウェアの基礎技術(OS、DBMSなど)がオープン化しているため、ソフトウェア受託開発との重複が増えているようです。

◼️ 営業利益率が△1.4ポイント

システム販売15社の売上高は前年同期比12.0%増の3158億34百万円でした。

営業利益は40.2%増の221億37百万円(営業利益率7.0%)、経常利益は37.6%増の227億18百万円、純利益は38.9%増の150億64百万円(純利益率4.8%)となっています。

2018年度上期に対して営業利益率は△1.4ポイント、純利益率は△1.0ポイントでした。

就業者数は1.9%増の1万5,038人でした。内訳は正規雇用が2.0%増の1万4,080人、非正規雇用が958人となっています。

就業者1人当たりの売上高は9.9%増の2,100.2万円、営業利益は37.6%増の147.2万円、経常利益は35.0%増の151.1万円、純利益は36.3%増の100.2万円でした。 

ソフト販売 純利率10%超は3半期ぶり

◼️ 販売形態が多様化

ソフトウェア販売はソフトウェア・パッケージの使用権(ライセンス)販売がメインですが、最近はパソコン/形態端末用ソフトウェアのダウンロード販売、画像処理や音声認識の技術ライセンス提供など、販売形態が多様化しています。

ダウンロード販売はASP/SaaS、技術ライセンス販売はインターネット経由の技術提供サービスと重なっていくと考えられます。本調査ではこれまでの分類に従うこととします。

◼️ 1人当たり売上高は1.9%増

ソフトウェア販売39社の売上高は前年同期比12.1%増の2,434億45百万円でした。営業利益は42.7%増の341億85百万円(営業利益率14.0%)、経常利益は40.7%増の347億00百万円、純利益は58.9%増の257億62百万円(純利益率10.6%)となっています。純利益率が10%を超えたのは2017年度下期(2017年10月〜2018年3月)以来となります。 

就業者数は10.0%増の2万3,171人でした。内訳は正規雇用が11.7%増の2万0,009人、非正規雇用が3,162人となっています。

就業者1人当たりの売上高は1.9%増の1,050.6万円、営業利益は29.8%増の147.5万円、経常利益は28.0%増の149.8万円、純利益は44.5%増の111.2万円でした。

◼️ 半完成製品に需要 

 システム販売とソフトウェア販売を合計すると、売上高は5,592億79百万円で前年同期比12.0%増、営業利益は563億22百万円で41.7%増、経常利益は574億18百万円で39.5%増、純利益は408億26百万円で44.5%増でした。

売上高が2けた増となったほか、営業利益が1.4倍に増加しているのは、需要の高まりを背景に、営業効率が向上しているようです。中堅・中小企業が自社専用システムを特注で構築するのでなく、半完成品をベースにカスタマイズすることで、カットオーバーのタイムラグを圧縮する方向に動いているのでしょうか。

機器卸・小売の純利率、3半期ぶりに10%超

 電子・情報処理機器卸・小売20社の売上高は1兆5,418億75百万円で、前年同期比は6.1%増でした。営業利益は801億31百万円(営業利益率5.2%)で22.6%増、経常利益は863億63百万円で50.9%増、純利益は568億54百万円(純利益率3.7%)で31.7%増となっています。

就業者数は2.7%増の4万4081人でした。内訳は正規雇用が3.4%増の3万5633人、非正規雇用が8448人となっています。

就業者1人当たりの売上高は3.2%増の3,498.0万円、営業利益は19.3%増の181.8万円、経常利益は46.9%増の195.9万円、純利益は28.2%増の129.0万円でした。

◼️ 携帯端末販売(代理店)4社は減収増益

機器卸・小売業に携帯端末の販売代理店が4社含まれています。携帯端末の販売代理店は、通信回線利用契約に伴う成功報酬や端末の一定数量販売によるキックバックなど、特殊な収益形態が特徴となっています。

そこで4社の業績をまとめると、売上高は前年同期比3.0%減の3,815億83百万円でした。営業利益は135億34百万円(営業利益率3.5%)で13.7%増、経常利益は171億62百万円で10.9%増、純利益は115億62百万円(純利益率3.0%)で13.7%増となっています。

就業者数は4.9%増の1万6151人でした。内訳は正規雇用が7.5%増の1万0,818人、非正規雇用が5333人となっています。

就業者1人当たりの売上高は7.6%減の2,362.6万円、営業利益は8.3%増の93.8万円、経常利益は5.7%増の106.3万円、純利益は8.3%増の71.6万円でした。