https://developers.facebook.com/docs/plugins/

IT産業調査室

IT/ICT産業の業績や就労環境などを調査し分析しています

「デジタル産業」とは(2) 際立つマンパワー依存型ITサービス業の低位安定

マンパワー依存型は一見すると好調だが……

 「マンパワー依存型受託サービス」はソフトウェア受託開発業(エンベデッド・システムを含む)、受託情報処理サービス業、受託システム運用管理サービス業、IT要員派遣業、コールセンター業および、受注上位階層に位置する総合ITサービス業(いわゆるSIer)で構成される。

 112社の2020年度売上高は前年度比1.7%増の8兆0,587億04百万円で、2010年度実績4兆5,061億93百万円の1.78倍だった。複利計算による年平均伸び率は5.95%となる。

 2020年度の営業利益は前年度比6.9%増の7501億62百万円で、2010年度実績2,923億86百万円の2.57倍だった。営業利益率は2010年度の6.5%から9.3%に2.8ポイント増加しており、ここ10年で収益の改善が進んだことが分かる。ちなみに2020年度の営業利益率9.3%は、過去10年の最高値となっている。

 就業者の平均年収(給与・賞与)は前年度比0.4%(2.38万円)増の670.85万円で、2010年度の609.44万円からから10.1%(61.41万円)増えている。売上高、営業利益、平均給与・賞与のいずれも増加している。

 一見すると“好調そのもの”だが、就業者1人当りに換算すると全く違った景色が見えて来る。1人当り売上高は前年度比2.4%減の1,644.7万円、対2010年度比は4.6%減だった。各年度の対2010年度比をグラフ上にプロットすると、過去10年間、1度も2010年度の水準を上回っていない(図2)。

 また、平均年齢の上昇(2010年35.7歳/2021年39.3歳)を勘案した年齢年収指数は2010年度の443.8から387.6に低下している。ここで留意しなければならないのは、有価証券報告書に記載される平均年収は個別・単独の正規雇用者の数値ということだ。

 全就業者数に占める個別・単独正規雇用者数の割合を見ると、2010年度44.3%から2020年度31.2%に低下している。昇給の恩恵を受ける範囲が狭まっているか、外注(下請け)への発注単価が圧縮されていることになる。

直近10年間の業績推移 マンパワー依存型受託ITサービス業112社