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IT産業調査室

IT/ICT産業の業績や就労環境などを調査し分析しています

グラフは語る(4-8) ソフトウェア受託開発 2000年の前と後(ソフト/サービス621社のうち)

 ソフトウェア受託開発業は単独で最も集計企業数が多い小分類でした。また「W e bアプリケーション」「A Iカスタマイズ」の2項目を新設するなど、ビジネスモデルの多様化が顕著となっています。

 そこで小項目ごとに設立年次の平均を取ったところ、

  ・業務アプリ/システム開発  1988年

  ・組込み/通信ソフトウェア  1989年

  ・Webアプリケーション   2004年

  ・AIカスタマイズ      2015年

 という結果となりました。

 これを受けて、2000年以前の設立88社、2001年以後の設立67社に分けて、2013年比グラフを作成しました。煩雑になるのを避けるためと、分かりやすくするために、営業利益率と1人あたり売上高を指標として選びました。

 2000年以前設立企業88社の事業規模は、総従業員数11万6,563人(1社あたり1,325人)、総売上高1兆8,053億68百万円(1社あたり205億16百万円)でした。

 2001年以後設立企業67社の総従業員数は30171人(1社あたり450人)、総売上高は5346億53百万円(1社あたり79億80百万円)となっています。

▶️1人あたり売上高

 2000年以前に設立された企業の平均値は、起点の2013年が1167万円でした。月額に換算すると97.25万円となります。2021年を除いて毎年伸び続け、2023年は1547万円(月額128.91万円)でした。

 これに対して2001年以後に設立された企業は、2013年が1338万円(月額111.5万円)、途中3回の急降下がありながら、2023年は1772万円(月額147.67万円)となっています。

 2015年を除いて、2001年以後設立企業が2000年以前設立企業を上回っています。両者の差が最も開いたのは2014年の227万円(月18.92万円)、次いで2023年の225万円(18.75万円)でした。この傾向は2024年も継続すると思われます。

▶️営業利益率

 2000年以前設立企業は2013年の5.7%から漸増し、2023年は10.3%と2けた台に乗りました。

 2001年以後設立企業は7.8%から多少の増減はあったものの、2022年に14%台に突入し、23、24年と3年連続の可能性を窺うことができます。1人あたり売上高、営業利益率が高いのは、Webアプリケーション開発やAIカスタマイズに代表される技術特化の高付加価値(技術とノウハウ)、開発環境の整備、アジャイル/ノーコード等の21世紀型開発手法・ツールの活用などをあげることができます。

 また取引モデルとして、既存の大手IT企業(コンピュータ・メーカーや情報処理系SIerないし2次受け大手ソフト開発業など)の下請けでなく、ユーザーとダイレクト契約したり、同業者と協働する場合も役割を分担するパートナー契約など、自律性(自立性)を堅持する傾向にあるようです。

 2000以前設立企業と比べ、従業員数・売上高とも4割弱の規模ですが、1人あたり売上高と併せ、今後のソフトウェア受託開発業の業績指標は2001年以後設立企業が主導権を握って行くことが推測できます。