IT産業業績調査2023「グラフは語る」の殿を務めるのはソフトウェア受託開発業です。大分類「ソフト/サービス」>中分類「受託サービス」>小分類「ソフトウェア受託開発」という立ち位置で、単独の小分類としては集計企業数が最も多くなっています。
155社の内訳は次のようになっています。
・組込み/通信ソフトウェア 22社
・業務アプリ/基幹システム 101社
・Webアプリケーション 18社
・AIカスタマイズ 14社
「Webアプリケーション」を主業務とする企業はこれまで「業務アプリ/基幹システム」に含めていましたが、今後の増加が見込まれることから分離して項目立てしました。また「A Iカスタマイズ」は今回新設の項目です。
従来、ソフトウェア受託開発業は要員派遣をベースとする同類企業連鎖の多重受発注(多重下請け)構造から抜けきれず、非正規雇用者を含む従業員の数が売上高や利益にダイレクトに結びついていると考えられてきました。
ところがこのグラフによると、従業員が減り、売上高が減少しても1人あたり売上高が増え続けていることが分かります。4-4「マンパワー依存型受託サービス:役務提供型上位モデル」のグラフを想起してください。
マンパワー依存型受託サービスの代表格「システム運用管理サービス」が可能な業務から順次、オンサイトをリモートに切り替え、サーバーやネットワーク、端末の稼働状況の監視をITで自動化(無人化)したように、ソフトウェア受託開発でもツールの利活用と機械化、自動化が進んでいると見ていいようです。
それを裏付けている(側面から証明している)のは、1社あたり事業規模は縮小しても営業利益率が増えていることです。これは、前年より少ない売上高でも同じ額の営業利益を得ることができるようになっていることを意味しています。もうちょっと細かく分析しないといけないのですが、現時点では「生産性が向上している」と言っていいかもしれません。