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IT産業調査室

IT/ICT産業の業績や就労環境などを調査し分析しています

グラフは語る(4-4) マンパワー依存型50社 役務モデルと労務モデル(ソフト/サービス621社のうち)

 一口に「マンパワー依存型」と言っても、要員をそろえて単純作業をこなして行く労務提供、その対置にある知識・ノウハウを集約した役務提供まで、業務・サービスに幅があります。データを整理しているなかで、業務別(小分類)による1人あたり売上高が、端的な2極分化していることに気が付きました。

 業務別の1人あたり売上高(2023年)は次のようになっています。

  システム運用管理      2,743.6万円

  オンサイト型BPO     3,951.4万円

  SES             931.9万円

  コールセンター         521.1万円

  プログラム・デバッグ/テスト  737.7万円

  セキュリティ管理      2,019.8万円

※オンサイト型BPOの売上高のなかには、商品取次や営業代行など取扱高が計上されているケースがある。

 そこで1人あたり売上高1000万円を基準に、上位モデル(役務提供)と下位モデル(労務提供)に分けて2013年比のグラフを作成してみました。

▶️上位モデル(役務提供)26社

▶️下位モデル(労務提供)21社

 上位モデル26社は1社あたり売上高、1社あたり従業員数が2020年まで対2013年を下回っていましたが、1人あたり売上高は伸び続けています。営業利益率が下位モデル21社より2ポイントほど低くなっているのは、労務提供型から役務提供型に転換するため、設備やインフラを整備・拡張する投資が要因と考えられます。

 つまり単純作業に従事する要員を機械設備に置き換え、可能な業務をオンサイトからリモートに転換することで、知識・ノウハウを集約していった、ということです。それによって1人あたり売上高が増加したと考えることができます。

 対して下位モデル21社は、従業員の増加が売上高の増加につながっていますが、1人あたり売上高はほとんど上がっていません。単純作業を要員の数でこなす労務提供からなかなか脱却できていないことが読み取れます。

 なかでもコールセンターサービスは非正規雇用者への依存度が49.9%と高く、受注価額と給与が低水準で同期しています。それだけにこの領域はビジネスプロセスの見直しやIT活用による自動化の余地が大きいと言うことができます。