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IT産業調査室

IT/ICT産業の業績や就労環境などを調査し分析しています

株式公開IT関連企業(3月期)2019年度中間業績【ネットサービス】 売上高は伸び悩む

ネットサービス108社の内訳は、「クラウド基盤」8社、「アプリケーション・サービス(ASP)」17社、「マーケティング支援」17社、「広告代行」6社、「ネット通販(EC)」9社、「業務受託(BPO)」12社、「オンラインゲーム」7社、「コンテンツ配信」12社、「情報提供・電子出版」11社、「求人・求職マッチング」9社、となっています。

ネット型のカギはB2B2Cモデル

「アプリケーション・サービス(ASP)」「マーケティング支援」「広告代理店」「ネット通販(EC)」「業務受託(BPO)」の5業務は、ユーザー(発注者)は事業者(ないし法人)と考えられますが、最終的に消費者(個人)にリーチしているところに特徴があります。つまり契約形態はB2B(法人間)の委託・受託の関係ですが、ビジネスモデルはB2B2C(法人—法人—消費者)ということになります。

ネットサービスのもう一つの特徴は、主要な業務による分類が細分化されること。これは既存の様々な業務がインターネット(ないしクラウド)に置き換えられていることを示しています。インターネットが産業の定義を変えている、と言うことができます。

108社の売上高は1兆9,235億75百万円で、前年度同期比は2.0%増でした。営業利益は7.3%減の2,369億97百万円(営業利益率12.3%)、経常利益は12.5%減の2,405億75百万円、純利益は10.7%減の1,573億27百万円(純利益率8.2%)となっています。

就業者数は1.8%増の10万3,403人でした。内訳は正規雇用が7万4,957人、非正規雇用が2万8,446人(非正規雇用率27.5%)となっています。

就業者1人当たりの売上高は1,860.3万円で前年同期比は0.2%増でした。営業利益は229.2万円で9.3%減、経常利益は232.7万円で11.3%減、純利益は152.1万円で12.3%減となっています。

クラウド基盤は増収減益

 ネット検索やデータ配信のプラットフォーム、データセンターなどを「クラウド基盤」としてまとめました。

8社の売上高は5,999億05百万円で前年同期比は5.1%増でした。営業利益は795億08百万円で8.1%減、経常利益は790億50百万円で9.2%減、純利益は536億78百万円となっています。

就業者数は1.0%増の2万3,230人で、内訳は正規雇用が1.4%増の1万7,840人、非正規雇用が5,390人(非正規雇用率23.2%)でした。

就業者1人当たりの売上高は2,582.5万円で前年同期比は5.1%増、営業利益は342.3万円で9.0%減、経常利益は340.3万円で10.2%減、純利益は231.1万円で78.3%減でした。

ビジネス系は減収減益

まず、ビジネス系の「アプリケーション・サービス(ASP)」「マーケティング支援サービス」「広告代行サービス」「ネット通販(EC)」「業務受託(BPO)」の5業務について、業績をまとめます。

ビジネス系ネットサービス61社の売上高は5,984億22百万円で、前年同期比は0.4%減でした。営業利益は525億10百万円(営業利益率10.3%)で0.9%減、経常利益は516億06百万円で4.6%減、純利益は282億96百万円(純利益率5.6%)で21.6%減でした。

就業者数は1.3%増の2万6,385人で、内訳は正規雇用が1.8%増の1万9,943人、非正規雇用が6442人(非正規雇用率24.4%)でした。

就業員1人当たりの売上高は1,926.9万円で1.7%減、営業利益は199.0万円で2.2%減、経常利益は195.6万円で5.9%減、純利益は107.2万円で22.6%減でした。

◼️ アプリケーション・サービス(ASP) 17社

17社の売上高は543億34百万円で前年同期比は15.2%増でした。営業利益は18.9%増の43億61百万円(営業利益率8.0%)、経常利益は30.3%増の43億19百万円、純利益は▲10億33百万円(純利益率▲1.9%)の欠損となっています。

欠損の要因は、仮想通貨交換サービスを運営するリミックスポイント(証券番号3825、マザーズ)が40億32百万円の欠損を計上したことでした。同社を除いた16社の業績指標を計算すると、売上高が25.2%増、営業利益が59.8%増、経常利益が80.1%増、純利益が61.5%増となります。

就業者数は4,125人で、前年同期比は8.0%減でした。内訳は正規雇用が9.5%減の3,404人、非正規雇用が721人となっています。

就業者1人当たりの売上高は、25.2%増の1,317.2万円、営業利益は29.2%増の105.7万円、経常利益は41.6%増の104.7万円、純利益は▲25.0万円となっています。

◼️ マーケティング支援サービス 17社

マーケティング支援サービス17社には、Webアンケートや統計データ分析を受託するB2B型と、一般消費者の購入意欲を直接的に喚起するB2B2C型が混在しています。ここではB2B、B2B2Cでの集計は行いません。

17社の売上高は1,069億69百万円で前年同期比は9.1%増でした。営業利益は11.6%増の188億92百万円(営業利益率17.7%)、経常利益は12.8%増の187億43百万円、純利益は12.6%増の124億28百万円(純利益率11.6%)となっています。

就業者数は8,435人で、前年同期比は3.5%増でした。内訳は正規雇用が4.1%増の7,317人、非正規雇用が1,118人となっています。

就業者1人当たりの売上高は、5.4%増の1,268.2万円、営業利益は7.8%増の224.0万円、経常利益は9.0%増の222.2万円、純利益は8.8%増の147.3万円となっています。

◼️ 広告代行サービス 6社

広告代行サービス6社の売上高は492億36百万円で、前年同期比は21.4%減でした。2018年度上期に株式売却益を計上したユナイテッド(証券番号2497、マザーズ)が売上高40.1%減となったのが響いています。

営業利益は2,472百万円で81.4%減、経常利益は2476百万円で81.4%減、純利益は740百万円で91.4%減となっています。アドウェイズ(2489、マザーズ)、Fringe81(6650、マザーズ)、ジーニー(6562、マザーズ)の3社が欠損となっています。

就業者数は5.4%増の2,337人でした。内訳は正規雇用が6.3%増の1,999人、非正規雇用が338人となっています。

就業者1人当たりの売上高は2,106.8万円で25.4%減でした。経常利益は105.8万円で82.4%減、経常利益は105.9万円で82.3%減、純利益は31.7万円で91.8%減となっています。

◼️ ネット通販(EC)

9社の売上高は2432億88百万円で前年同期比は3.1%、営業利益は160億49百万円(営業利益率6.6%)で23.6%増、経常利益は157億04百万円で21.0%増、純利益は94億02百万円(純利益率3.9%)で14.8%増でした。

就業者数は7309人で1.4%増でした。内訳は正規雇用が2.7%増の3722人、非正規雇用が3587人(非正規雇用率49.1%)となっています。

◼️ 業務受託(BPO)  12社

ネットサービスは既存の人手による業務・事務手続きをインターネット/クラウドに置き換えつつ、付加価値を高めるという意味で、広義の業務受託(BPO)と言うことができます。ここでは独立の項目を設定できない「その他」を集約しました。

売上高は545億95百万円で前年同期比は17.8%減でした。営業利益は107億36百万円で77.4%増、経常利益は103.64百万円で30.9%増、純利益は67億59百万円で12.0%増でした。デジタルガレージ(証券番号4819、東証1部)の売上高が▲41.3%、営業利益が4.33倍と乱高下したのが響いています。

就業者数は5.1%増の4,179人でした。内訳は正規雇用が6.2%増の3,501人、非正規雇用が678人となっています。

就業者1人当たりの売上高は1,306.4万円で21.8%減でした。経常利益は256.9万円で68.8%増、経常利益は248.0万円で24.5%増、純利益は161.7万円で6.6%増となっています。

コンシューマ系 1人当たり減収減益

コンシューマ系ネットサービス39社の売上高は8,152億48百万円で、前年同期比は1.3%増でした。営業利益は1,049億79百万円(営業利益率10.4%)で10.4%減、経常利益は1,099億19百万円で12.2%減、純利益は735億53百万円(純利益率9.2%)で9.2%減でした。

就業者数は2.3%増の5万3,788人で、内訳は正規雇用が3.4%増の3万7,174人、非正規雇用が1万6,614人(非正規雇用率30.9%)でした。

就業員1人当たりの売上高は1,515.4万円で1.0%減、営業利益は195.2万円で12.4%減、経常利益は204.4万円で14.2%減、純利益は140.1万円で11.1%減でした。

◼️ オンラインゲーム 7社 

売上高は4,822億37百万円で前年同期比は2.1%減でした。営業利益は633億33百万円(営業利益率13.1%)で20.6%減、経常利益は665.12百万円で21.7%増、純利益は455億44百万円(純利益率9.4%)で23.7%減でした。

就業者数は1.9%増の2万4,775人でした。内訳は正規雇用が3.7%増の1万3,021人、非正規雇用が1万1,754人となっています。非正規雇用率は47.4%でした。デザイナー、アニメータ、プログラマ、データアナリストなど多くのフリーランスが契約で就労しているようです。

就業者1人当たりの売上高は1,946.5万円で3.9%減でした。経常利益は255.6万円で22.1%減、経常利益は268.5万円で23.1%減、純利益は183.8万円で25.1%減となっています。

◼️ コンテンツ配信 12社

売上高は437億80百万円で前年同期比は2.1%増でした。営業利益は43億32百万円(営業利益率9.9%)で17.3%減、経常利益は45億13百万円で17.2%減、純利益は21億20百万円(純利益率4.8%)で2.26倍増でした。

就業者数は3.0%増の3,018人でした。内訳は正規雇用が3.5%増の2,627人、非正規雇用が391人となっています。

就業者1人当たりの売上高は1,450.6万円で0.9%減でした。経常利益は143.5万円で19.7%減、経常利益は149.5万円で19.6%減、純利益は70.2万円で2.19倍増となっています。 

◼️ 情報提供・電子出版 11社

売上高は2,347億45百万円で前年同期比は5.6%増でした。営業利益は285億55百万円(営業利益率12.2%)で30.4%増、経常利益は287億49百万円で23.9%増、純利益は210億77百万円(純利益率9.0%)で49.0%増でした。

就業者数は0.3%増の1万8,588人でした。内訳は正規雇用が0.4%増の1万4,220人、非正規雇用が4,368人となっています。

就業者1人当たりの売上高は1,262.9万円で5.3%増でした。経常利益は153.6万円で30.0%減、経常利益は155.7万円で23.6%減、純利益は113.4万円で48.5%増となっています。 

◼️ 求人・求職 9社

売上高は544億86百万円で前年同期比は16.9%増でした。営業利益は87億59百万円(営業利益率16.1%)で14.1%減、経常利益は99億45百万円で13.3%減、純利益は66億12百万円(純利益率12.1%)で18.4%減でした。

就業者数は9.2%増の7407人でした。内訳は正規雇用が9.3%増の7306人、非正規雇用が101人となっています。

就業者1人当たりの売上高は735.6万円で7.0%増でした。経常利益は118.3万円で21.3%減、経常利益は134.3万円で20.6%減、純利益は89.3万円で25.2%減となっています。