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IT産業調査室

IT/ICT産業の業績や就労環境などを調査し分析しています

株式公開3月期ネットサービス業 B―C23社に急ブレーキ/B―B76社も減速の傾向が顕在化

株式を公開している3月期決算のネットサービス97社について、収入の源泉が消費者か事業者かを基準に、コンシューマー向け(B―C)モデル、ビジネス向け(B―B)モデルに分けて再集計した。

B―Cモデルは23社で、カテゴリー別の内訳はゲーム・楽曲など「アミューズメント」6社、電子出版・Webニュースなど「出版」9社、「通信販売」8社となっている。企業数は2018年度と増減ナシだった。

またB―Bモデルは74社で、カテゴリー別の内訳は「ASP」17社、「ポータル」5社、「マーケティング」23社、「デジタル広告」6社、「コンテンツ配信」13社、「求人・求職」7社、サーバーホスティング・サーバーレンタルなど「クラウド基盤」3社となっている」。集計企業数は2018年度から▲2社となっている。

「ポータル」「デジタル広告」「コンテンツ配信」「求人・求職」の4カテゴリーはB―B―Cモデルだが、本調査では収入の源泉を基準とするのでB―Bモデルに整理している。

前年同期比の△はプラス、▲はマイナス。

 

B—Cモデル23社

16期ぶりの減収減益

B―Cモデルは23社の売上高は前年同期比▲1.7%の1兆7,949億09百万円、営業利益は▲39.8%の1,168億72百万円、経常利益は▲40.1%の1,219億55百万円、純利益は▲47.1%の692億20百万円だった。

1社当たり売上高は780億40百万円、営業利益は50億81百万円、経常利益は53億03百万円、純利益は30億10百万円だった。2018年度と集計企業数が変わっていないため、前年同期比は全体と同じとなる。

 

営業利益率が大幅に下落

売上高に対する営業利益の割合(営業利益率)は6.5%で、2018年度から▲4.1ポイントと大幅な下落となった。経常利益率は1018年度の11.1%から6.8%へ▲4.3ポイント、純利益率は7.2%から3.9%へ▲3.3ポイントとなっている。

就業員数は△4.0%の4.3万人

就業員数は正規雇用が△4.2%の2万4,362人、非正規雇用が△3.9%の1万8,923人で、総計は△4.0%の4万3,285人だった。全体に占める非正規雇用者の割合は43.7%で、2018年度から▲0.1%だった。

就業者1人当たり売上高は4,146.7万円で前年同期比は▲5.5%、営業利益は270.0万円で▲42.1%、経常利益は281.8万円で▲42.3%、純利益は159.9万円で▲49.1%だった。

 

3期連続で純利益が減少

減収減益は2期連続、純利益が前年同期を下回ったのは3期連続となる。本業の利益を示す営業利益が4割減と、右肩上がりで続伸してきたB―Cモデルにブレーキがかかっている。

B―Bモデル74社

売上高は2018年度比△8.5%

B―Bモデル74社の売上高は△8.5%の2兆1,113億05百万円、営業利益は△1.3%の2,811億72百万円、経常利益は△3.9%の2,689億56百万円、純利益は△3.1%の1,686億62百万円だった。

1社当たりを算出すると、売上高は285億31百万円で△11.4%、営業利益は38億00百万円で△4.1%、経常利益は36億35百万円で△6.7%、純利益は22億79百万円で△5.8%だった。

 

利益率が一様に低下

営業利益率は13.3%で2018年度比は▲1.0ポイント、経常利益率は12.7%で▲0.6ポイント、純利益率は8.0%で▲0.4ポイントとなっている。直近のピークだった2013年度の営業利益率は25.2%だったことを考えると、ネットサービスのB―Bモデルも「儲からないビジネス」になりつつある。

 

就業者総数は2018年度比△3.9%

就業員数正規雇用が△4.8%の4万9,244人、非正規雇用が▲0.6%の9,477人、総計は△3.9%の5万8,721人だった。非正規雇用率は16.1%で2028年度の16.9%から▲0.8ポイントとなった。

就業者1人当たり売上高は3,595.5万円で前年同期比は△4.4%だった。営業利益は478.8万円で▲2.5%、経常利益は458.0万円で▲0.04%、純利益は287.2万円で▲0.8%だった。就業員数が増加したため、1人当たり業績が減少した。

2020年度通期見通し

97社のうち50社が未公表・未確定

2020年度の通期見通しを見ると、B―Cモデル23社のうち14社、B―Bモデル76社のうち36社、総計50社が「未公表」「未確定」としている。このため「未公表」「未確定」企業については2019年度実績をそのまま適用する。

 

B—C/B—Cとも減益続く

B―Cモデル23社の2020年度通期業績見通しは、売上高が1兆7,962億25百万円で2019年度比は△0.1%、営業利益が1,130億77百万円で▲3.2%、経常利益が1,173億61百万円で▲3.2%、純利益が598億14百万円で▲13.6%だった。

B―Bモデル74社の通期見通しは、売上高が2兆0,941億99百万円で2019年度比は▲0.8%、営業利益が2,731億46百万円で▲2.9%、経常利益は2,609億29百万円で▲3.0%、純利益は1,638億90百万円で▲2.8%だった。